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今回は、Local Innoventures理事の福本大二さんにお話を伺いました。「京都チーズケーキ」ブランド誕生のきっかけや、地方創生に取り組まれている理由、現在のプロジェクトや今後の展望についてお話しいただきました。語っていただきました。
その内容を、インタビュー形式でご紹介します。
異色の経歴。IT業界からパティシエへの転身
ーパティシエになった経緯を教えてください
高校時代は、当時流行っていたこともありパソコンに興味があって、商業科の情報処理科に進学しました。その後、コンピューターの専門学校に3年間通い、卒業後はコンピューター関連の会社で3年間サラリーマンとして働きました。
ただ、学生時代から飲食業のアルバイトを続けていたので、料理やお菓子作りは常に身近なものでした。コンピューターの道は自分には違うと感じていたこともあり、24歳の時に会社を辞め、パティシエの道へ進むことを決意しました。昼はカフェで働きながら、夜間の製菓専門学校に1年半通い、そこで現在の妻と出会いました。彼女も元パティシエです。
その後、約10年間の修行を経て、2015年に「ソラアオカフェ」を開業しました。
ー現在はどのような形で運営されているのですか?
開業当初は、私自身がパン屋にいた経験なども活かし、料理がメインのカフェレストランとして運営していましたが、途中で洋菓子がしたくなって1番得意で好きなチーズケーキの通販を開始しました。すると、催事や卸の仕事を頂くようになって、料理との両立が難しくなったので、3年でカフェを閉めてケーキ事業に振り切りました。
店舗をもたず、催事と卸での展開だったのですが、コロナ禍で催事や卸の売上がゼロになってしまいました。ただ、他店よりも早く通販を始めていたのと、テレビ出演やクラウドファンディングが重なって、今では通販が売上の8割を占めるまでになっています。

テレビ出演が転機に。「京都チーズケーキ」誕生秘話
―お店の大きな転機となったのが、テレビ番組へのご出演だったそうですね。
はい。以前、ある特別な栗を使ったチーズケーキを作るためにクラウドファンディングを実施したのですが、それをご覧になったテレビ番組の方から突然ご連絡をいただいたのがきっかけです。栗農家さんと一緒に取り上げていただけることになりました。 まさに「寝耳に水」という感じで、本当に驚きましたね。それまでも関西のローカル番組に出させていただくことはありましたが、全国放送の影響力は全く異なりました。
―その反響は、具体的にどのようなものでしたか?
想像を絶するものでした。放送当日は大変なことになると聞いていたので、2,000個のチーズケーキを用意して臨みました。しかし、放送が始まると注文が鳴り止まず、わずか1時間半で完売し、サーバーがダウンしてしまったんです。 その日は家族4人で鍋を囲みながら放送を見ていたのですが、結局一口も食べられないまま…。最終的には、年内の注文をすべて停止せざるを得ない状況になりました。
―それほど反響があった「栗のチーズケーキ」ですが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?
このチーズケーキに使っているのは、収穫後に1ヶ月間冷蔵庫で熟成させる「寝かし栗」という非常に特別な栗です。そうすることで糖度が増し、格段に美味しくなるんですよ。
実は、栗にはリンゴのように多くの品種があるのですが、市場では「丹波栗」などとして産地で一括りにされ、大きさだけで価値が決まりがちです。味や個性が正当に評価されないことに悩む農家さんと出会い、その方が作る“幻の栗”の魅力を伝えたいと、このチーズケーキ開発が始まりました。この栗は日本で4軒ほどの農家さんしか作っておらず、年間収穫量もわずか400kg。当店がチーズケーキに使えるのは、最大でも2,000個分だけという希少なものです。
―チーズケーキのラインナップは、他にどのようなものがありますか?
定番のプレーンに加え、京都のさまざまな企業様とコラボレーションしています。俳優の佐々木蔵之介さんのご実家である佐々木酒造さんの「日本酒」、祇園辻利さんの「抹茶」、Dari Kさんの「チョコレート」、わかさ生活さんの「ブルーベリー」、水尾の農家さんの「ゆず」、宇治のいちご農園さんの「いちご」。その常時7種類と、季節限定品をご用意しています。
チーズケーキで地方創生へ。生産者との出会いが広げた新たな挑戦
ー地方創生に関わるようになったきっかけを教えていただけますか?
先ほどの栗農家さんが、後継者問題もあって「自分の代で終わりかな」とおっしゃっていたんです。でも、チーズケーキが売れたことで、栗栽培で十分に生活ができるとわかり、事業を続けていく意欲が湧いてこられました。そして、一人でやるだけでなく、集落が所有していた山をグループで購入し、みんなで開墾して新たに栗を植えるという大きな動きにつながったんです。栗は植えてから収穫まで3年かかる、まさに「桃栗三年」ですが、この取り組みは今では綾部市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
ーその活動が、福本さんの現在のお仕事に大きな影響を与えたのですね。
そうですね。農家さんの笑顔を見て、こういうことが自分のやりたいことなんだと、地方創生に目覚めたというか。チーズケーキ屋を始める時から、京都の食材にはこだわりたいと思っていましたが、この経験を通してその想いがより強くなりました。今では栗だけでなく、落花生やはちみつ、桃など、京都府内のいろいろな農家さんや生産者の方とコラボレーションして、クラウドファンディングなどを通じてその価値を多くの人に知ってもらう活動をしています。
ーLocal Innoventuresの理事には、どのような経緯で就任されたのですか?
代表の薮田さんとは、一般社団法人即戦力という団体の代表、佐々木美香さんを通じて知り合いました。薮田さんの地方創生の活動を応援したいと思いながら、どう関わったらいいだろうと思っていたところ、理事を募集しているという話を聞き、僕にも何かお手伝いできることがあるならと思い、「やります」と手を挙げました。それで、今年の7月から理事として活動させていただいています。
チーズケーキで京都を繋ぐ。未来へ続く地方創生への挑戦
ー今後の夢や展望についてお聞かせください。
「チーズケーキで京都をつなぐ」という理念のもと、この事業を10年、20年、そして100年続く企業にしていきたいと思っています。実は、上の娘が保育園の卒園式で、将来の夢を聞かれたときに「パパのお店を継いでパティシエになります」と言ってくれたことがあって。もう、そこで号泣してしまいました(笑)。その言葉が今も大きな原動力になっています。娘や、その先の孫の代まで繋いでいけるような企業にしたいですね。
ーそれは感動しますね!現在、具体的に進めている新しいプロジェクトはありますか?
はい、京都府が推進している「LFP(ローカルフードプラットフォーム)」という産官学民が連携する取り組みに参加しています。その中で、僕たちは京丹波町にある須知(しゅうち)高校と連携しています。須知高校は酪農や農業を学べる学校で、地域の課題である放置林の問題にも取り組んでいます。北山杉を伐採した後の土地に「クロモジ」という木を植えていて、その葉を活用できないかと相談を受けました。クロモジは和菓子の爪楊枝などに使われる香りの良い木なのですが、その葉を使ってチーズケーキを作ろうと開発を進めています。ほかにも、京丹後市のハーブ園の方に、うちのチーズケーキに合うようにオリジナルでブレンドしてもらったハーブティーをお店限定で販売したりもしています。
ーさまざまなコラボレーションが生まれているのですね。私の住んでいる京田辺市は玉露が有名なので、ぜひ玉露ともコラボしてください!
そうなんですね。京田辺といえば玉露、というイメージはまだあまり知られていないかもしれませんね。何かできないか、考えてみますね。
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