「電気つけといて」
「電気消し忘れないようにね!」
昨日も、今日も、明日も。当たり前に使う電気。
今回紹介するのは4人のお坊さんで立ち上げた電力会社「テラエナジー」の代表取締役・竹本了悟さんです。
竹本さんが代表を務める電力会社の「テラエナジー」は①価格の安さ、②社会貢献、③クリーンな電気がポイントで、電気料金の2.5%をソーシャルグッドな団体や事業に寄付をすることで「あたたかなつながり」を育む事業です。
電気を使うだけでSDGsに貢献する「テラエナジー」。
こちらに詳しい紹介記事があります。今日はそんな中、活動ではなく「人」に焦点を当てた記事を書いていきます。
「ぬくもり」をテーマに電力事業を展開する竹本さんですが、経歴は自衛官➣お寺の住職➣電力会社と異色。そんな竹本さんの深さに迫ります。
生きる意味病だった学生時代。
–「テラエナジー」を創業するまでの経歴を教えてください!
高校まで広島にいて、大学は防衛大学校に入りました。防衛大学校は卒業して、一年弱、海上自衛官をしていたんですけどなんか違うなと思って辞めて。
そこから京都の大学院に入って救済、救いという仏教や思想、哲学を学び始めました。
ーーまたどうして入り直そうと思ったんですか!?
もともと生きる意味病だったんです。小3のときにいじめられて。いじめられてることがきっかけで生きる意味って何なんだろうっていうのを小学生時代からずっと考えてたんです。
結論として「身近な人を守るために自分が存在できるなら生きる意味があるんじゃないか」と思いました。家族の延長線上である国を守ることが自分の中でしっくり来て自衛官になりました。
ただなったら実際は、実家が大変な状況なのにほったらかしで半年間海洋にでなきゃいけないということになって。
ほんとに家族をほったらかして自衛官を続けるのか、それともバタバタしている家族のために動くのかを考えたときにやっぱり後者だなと思ったんです。
そのときに「もう1回自分の生き方をしっかり考えてみよう」と思って、仏教を学ぶ大学院に入りました。
生きる意味の本質はぬくもり。
ーー大学院の学びで生きる意味って変わりましたか?
変わりましたね。
まず生きる意味を問う時に根底に孤独があるんだと気付いたことです。
周りから自分がずれてるとき、例えば小学校で言えばいじめられているときとかに「自分ってなんでここにいるんだろう、なんで自分はこんな苦しい思いをして生きなきゃならないんだろうって」思うんです。
「自分が世界で一番不幸だ」「こんな苦しいのは自分だけだ」こういった自分と同じような苦しみを持ってる人が出てきたりして、勉強になりました。
次に変わったことは孤独への処方を示しているのが仏教だと気付いたことです。
仏教を通して2つの学びがありました。
①自分の孤独の苦しみって1人じゃないんだということ
②この世界の本質はぬくもりでできてるんだということ
この2つです。
ーーなるほど!ぬくもりを感じるエピソードとかってありましたか?
印象的なエピソードというよりは小さなエピソードの積み重ねを思い返すとぬくもりがあったんだと感じました。
小学校でいじめられてすごい嫌だった経験しかなかったけど、ふと思い返してみるとあのとき先生はこんな風にいってくれた、とか母親はずっと味方でいてくれた。とか。
あそこにちゃんとぬくもりが届いてたんだ、と苦しかった経験や孤独だった経験が逆に癒されたり再解釈されたりしました。
だから今ではいじめられてほんとによかった、すごく大事な経験をさせてもらったんだな、と思っています。自分の出会ったぬくもりを誰かに知ってもらう、自分を通して誰かがそのぬくもりを感じてくれる。そういった触媒に自分がなれれば、これ以上の生きる意味はありません。
仏教の学びを通じて生きる意味、人間のぬくもりについて気づけた竹本さん。ここから「ぬくもり」をテーマに活動をしていきます。
あたたかなつながりを紡ぐ。その延長線上が電力会社の創業。
ーー大学院を卒業されてからはどのようなことをされていたんですか?
奈良のお寺で住職をしながら、自殺に関する相談をするNPOを京都でやっていました。
死にたいという孤独な状態の人を媒介存在である人間を通してぬくもりを伝え、和らげる活動です。その活動を10数年やってきて、トレーニング方法とかもめっちゃいいと自負していました。
ただ残念ながら、規模がいまいちなんですよね。お金がないからスタッフも雇いあげられない、だからいい活動をしているのにいい人も抜けていく。
自殺に悩んでおられる人の伴走支援を続けてするための資金を稼ぎたかったんです。そこで思いついたのが電力会社の「テラエナジー」の創業でした。
ーー電力事業をしようと思われたきっかけはあったんですか?
実家が住職だった今共同経営者の同僚が仏教と環境を20年ぐらい研究していて。その勉強会に付き合いで参加したんです。
最初は環境なんて興味なかったので寝ながら聞いてたんです(笑)。
ーー驚きです。最初は興味がなかったんですね!
はい。でもある事例聞いてめっちゃ目が覚めて。
ドイツのシュタットベルケの話です。電力自由化して、田舎のおっちゃんたちが電力会社作って、そこで得た収益で赤字路線のバス会社を買い取って、今では無償で走らせているんです。
ちょうど2016年に電力自由化したから日本もチャンスなんですよっていう話を聞いて「あ、これだ!」と思いました。
そこから寝てたくせに質問時間独占しました。(笑)
最初はどこかでやってほしいなと思ってたんですけど、想いがあったので、4人のお坊さんと着想していた寄付つき電気と自然エネルギーをベースにした電気というアイデアで起業しました。
ーーアイデアがあたたかいですね。
はい。私たちの企業理念が「あたたかなつながりを紡ぐ」っていうので。これは紡ぐ仕事だな、と思っています。
ーー具体的に言うと?
つながりの質が大切で。お互いにとって、あったかいな、居心地いいなと思うところを繋いでいく。そういうぬくもりある企業にしたいな、と思っています。
我々のサービスは電気料金の2.5%をお客さんの応援したい社会貢献活動に寄付をするっていう仕組みです。
だから契約してくれるお客さんにとっては貢献したことが「ぬくもり」になるし、社会貢献団体にとっても活動の基盤になります。こうして電気を通じて「あたたかなつながり」を紡いでいます。
ーーあたたかいですね!実際やっててよかったことはありますか?
同じ感覚、感性の人と自然と繋がれることですね。
どこかで自分の夢を持ちつつ、疑問を持ちつつ、なんとか自分なりの生き方をしようとしているお客さんが多いです。
それってすごい居心地よくて。土地に縛られないでいいし。別々のところに住んでいたとしても、電気でも繋がれる。自分たちが居心地のいい生き方ができるような、そんなコミュニティができたらなと妄想してます。
ーー安さじゃなくてつながりをつくっていくっていうのが素敵ですね。
関係性ってお金じゃないと思っていて。
せっかく当たり前に使う電気も自由化したんだから、安さだけじゃなくて電気のサービスに色を付けて、電気のことを通じてぬくもりを感じたりおもしろいなって思ってもらいたいです。
何も考えずに電気をつけっぱなしにするんじゃなくて、考えてみる。そうすればエネルギーへの関心も高まるし、生き方の感性ももっと面白くなると思います。
生活をしていると当たり前に使う電気。今回は電気のお話を書きましたが、ふと思い返してみるといろんな生活のシーンで生きる意味を考えることがありそうです。
電気のことをきっかけに、日常生活の意味を考えてみてはいかがでしょうか。そんなところで今日はペンを置きたいと思います。
まーきち
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