現代の私たちにとって、農業と接する機会はなかなかありません。
しかし、遠い存在だった農業を身近に感じれる場所があります。
それが、大阪の南に位置する泉州地域です。
今回、取材させていただいた『農~labo’(ラボ)泉州』は、
泉佐野市を拠点に活動する若手農業者を中心としたグループです。
『農~labo’泉州』は、野菜の『本当の美味しさ』と『農業の魅力』を伝えるために活動されています。
また、泉州野菜の魅力を知ってもらい、地元農家の発展を目指しています。
【農業の未来に不安】外部とのつながりを求めていた
『農~labo’泉州』は、大阪府立佐野高校のユネスコ部と係わりから始まります。
元々、農家は外部とのつながりは少なくて、閉鎖的な環境です。
しかし、代表理事を務める奥さんは、そんな農業の未来に不安を感じていました。
「農家は、もっと外部とのつながりをもたなくてはいけない」
奥さんは泉州地域の特産である水ナスについて、ツイッターで情報発信をしていました。
当時、佐野高校のユネスコ部は水ナスを使って、地域を盛り上げようとしました。
しかし、地元の農家に聞いても、日常の業務があるため門前払い。
学生たちは、水ナスの栽培方法が分からずに困っていました。
そんなときに、奥さんのツイッターを見た学生たちはDMを送りました。
奥さんは学生たちの要望を快く引き受けて、水ナスの栽培方法を教えました。
そして、ユネスコ部と一緒に地元のイベントに出店し、大盛況を受けたのです。
その後、地元の若手農家を集めて、『農~labo’泉州』の前身となる組織を立ち上げます。
若手農家たちも、今後の農業に不安を感じていました。
既存の農業団体に属すと、義務感でやらなくてはいけないことが多いのが現状です。
『農~labo’泉州』では、強制せずに楽しく活動するのをモットーとしています。
新しい『農福連携』で地域貢献を
『農福連携』という言葉は、ご存知でしょうか?
農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。農福連携に取り組むことで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあります。
農林水産省ホームページより
しかし、障害者雇用には一般的な最低賃金が適用されません。
「健常者と同じ作業料をこなせないだけで、なぜ最低賃金が適用されないのか?」
そんな、疑問を抱えていたときに障害者施設『社会福祉法人いちょうの森』と『農~labo’泉州』が出会いました。
『社会福祉法人いちょうの森』は、利用者を単純労働者としてではなく、
一緒に活動したいと考えていて、『農~labo’泉州』は農業を通じて地域貢献がしたい。
お互いの意見が合致し、タッグを組むことになりました。
「毎月500円から支える食の未来プロジェクト」では、
新鮮な野菜を全国に発送するために『社会福祉法人いちょうの森』の利用者を雇用しています。
この様に『農~labo’泉州』では、新しい『農福連携』をつくりだしたのです。
【本当の農業が体験できる】援農ボランティア
『農~labo’泉州』でもっとも、重要なプロジェクトである援農ボランティア。
以前は、決まった学生に呼びかけていました。
しかし、本年度から一般のボランティアサイトで募集をかけました。
『農~labo’泉州』では、農作業を手伝うだけではなく、『農を知る』をテーマにしています。
たとえば、収穫が終わった後に野菜の出荷場や直売所を訪れます。
そして、価格の付け方や陳列まで他のボランティアとは違う、
本当の農業を知ることができます。
【環境にやさしい】泉州玉ねぎのエコ栽培
土作りは農家にとって、重要な役割を担います。
『泉州玉ねぎのエコ栽培』と呼ばれるプロジェクトでは、『生分解性マルチ』を使用しています。
『生分解性マルチ』とは、玉ねぎなどの栽培時にかぶせるシートです。
通常はビニール製のシートですが、生分解性マルチは自然繊維を使用しています。
そのため、使用後はロータリーなどの機械で土にすき込むことで、微生物によって分解されます。
生分解性マルチは、廃棄コストと時間短縮するために、北海道の広大な畑によく使用されています。
しかし、通常のシートよりも2~3倍の価格なため、大阪ではほとんど使われていません。
『農~labo’泉州』では、環境に配慮した環境保全型農法を推進しています。
天候不順が続くときは、不作になりやすい。
また、良質なたい肥作りを心がけています。
天候不順が続いても、『たい肥』をしっかり作っていれば収穫率は上がります。
『農~labo’泉州』のメンバー内では良質な、『たい肥』をシェアしあっています。
【農業をより身近なものに】農labo大人女子会
農labo大人女子会では、主婦や大学生などが中心になって活動しています。
農業に興味がある人はもちろん、農業に対してネガティブなイメージがある人の参加を目指しています。
農業のハードルを下げるために、女性同士の出会いの場としてカフェでお茶します。
家庭以外の息抜きを求めて話をしたり、旬野菜をつかったレシピの紹介。
また、直売野菜の購入が可能です。
農業に興味がない女性にも、『経験・感動・喜び』を感じてもらうのを目的としています。
【子どもの感性を育てる】食育プロジェクト
『農~labo’泉州』は、こども園で菜園づくりのサポートもおこなっています。
泉佐野市 幼保連携型認定こども園の『なかよしこども園』で、定期的に菜園の指導。
園児の足元が汚れないように、防草シートを敷いたりしています。
また、体験を通して子どもたちの感性を養います。
野菜が育つ工程やおいしい野菜の味を知ってもらい、子どもたちに自然を感じさせます。
まとめ
今回は、『農~labo’泉州』さんをご紹介しました。
泉州野菜の認知度を上げるために
『本当の美味しさ』と『農業の魅力』を伝えるために活動されています。
『農~labo’泉州』では、援農ボランティアさんを募集しています。
興味のある方は、WEBサイトもしくはインスタグラムのDMよりご連絡ください。
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「女性が気軽に農業できる」
農業のハードルを下げるために活動している
『農labo大人女子会』について詳しくはこちらをご覧ください。
→女性にこそ農業体験をしてほしい!野菜の魅力を伝える『農labo大人女子会』
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